自惚れ

真ちゃんの肌はとっても冷たくて、俺が暖めてあげないとそのままこの冷たい空気と一体化しちゃいそう。
 もしそのまま放ってしまうと、真ちゃんの表情も同じ様に冷たくなって、笑うこともできなくなって、真ちゃんがとっても寂しげな顔をしているように見えちゃうんだろうな。
 寂しいかはどうかはまだ俺だって分かんねぇんだけど、そうであっては欲しい。
 でも俺がいないと真ちゃんは感情だって、まるでないようで、俺がいるから皆が真ちゃんの感情を読み取ることができる。
 それってもう俺だけしか真ちゃんのこと分からねぇんじゃね?なーんて、自惚れてみたりする。
 本当に小さな世界でな。
 でも一歩踏み出してみると、キセキの奴らは簡単に真ちゃんの考えてること分かってさ、ましてや俺が知らないことばかり知ってて、自惚れってこういうことだなって、調子に乗ってた俺が馬鹿みたいだった。
 俺の知らないことを簡単に言っちゃって、本当は俺が今から知ることだったのに。
頭の中で止めてくれと何度も訴えても、その場ではいつもみたいにニコニコと笑う。
 俺は傷つく顔を隠すことばかり上手くなっていった。
 だからきっと、さようならをする時が来たとしても同じ様に笑って別れることが出来る。
 出来ているように祈る。

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