もっと愛を頂戴。
真ちゃんを抱きしめさせて、キスをさせて、繋がせて。
俺が居なければ、物足りないぐらいになっちゃってよ。隣の感覚も香りも染み込んで、いつかは真ちゃんも俺の一部を身につけるように。それはとても幸せで、そしてもう離れることができないっていうことにもなる。
俺が居なくなれば、その一部はなくなって、過去のものになるけどさ、ふ、と何かがきっかけで、それを思い返した時には強烈な寂しさを思い返す。そしてもう、拭うことができなくなるんだ。
そんな時、愛していたって、思っちゃうだろう? 不思議なことに幸せなことしか、思い浮かばない。辛いこともあったけれど、綺麗に美化されて、霞んでいく。それでも、楽しかったなって。
「俺から離れる気か?」と真ちゃんは、例え話をした俺に聞く。
ハハっと、そんなことあるわけが無いから、笑いが出た。「まさか」
俺は椅子に座っている真ちゃんを自分の胸に抱き寄せる。
「俺のこと愛してくれるのと引き換えに、寂しい想いもずっと引きづらせるような、そんな残酷なことはしないよ」
真ちゃんは動かない。返事もしない。
「だから、真ちゃんも俺のことを置いていかないでよ」俺は真ちゃんにこの鼓動を聴かせるために強く胸に押し当てる。
ほら、こんなに元気でしょ? 居なくなるわけ無いでしょって。